元のこぎり屋根工場のワークサロン
- 愛知県一宮市木曽川町玉ノ井大縄場十ノ切6-5
繊維の街 愛知県一宮市に、元のこぎり屋根工場をリノベーションした、ワークサロンを作った。
地域のお荷物であり誇りでもあったノコギリ屋根工場
この地域には、三角屋根をした「のこぎり屋根工場」と親しまれる繊維工場が残っている。繊維の産地として全国的に知られるほどだったが、高度経済成長期の大量生産の影響を受け、良質な繊維産業は一気に落ち込み、次第に機織りの音も街から消えていった。街の象徴だったのこぎり屋根工場は空き家になっていった。時代に変化が訪れ、仕事や働き方も変わる中、のこぎり屋根の下は変わらず、とても心地良い魅力的な空間が広がっていた。何か、今の魅力を活かしながら使える方法はないだろうか考え、豊かな庭を持ったワークサロン(シェアオフィス)をつくることとなった。のこぎりの物語を継承すべく、「Noko-Tan(のこ譚)」と命名した。
名古屋中心部ではなく、各務原にターゲットを
一宮市は、人口38.09万人の地方都市で、個人経営者も多く、ある程度の経済圏は内部で完結している。名古屋市と岐阜各務原方面へどちらも車で30分ほどの距離にあり、遊びに行くなら、ブランド物などは名古屋、最近のリノベーションカフェなどを求める層は、岐阜市・各務原市へも人気になりつつある。
ターゲット層の価値観としては、休日は、名古屋市街地より岐阜の面白い所をSNSなどで調べて遊びに行く・仕事とプライベートの境目があいまいな人を主軸に置いた。そのため、ホームページなどもストーリー調にし、ターゲットに響く工法を心掛けた。
リーシングの結果、想定通り岐阜方面からの入居者が多い。現在も満室稼働で、共用ルームを一部賃貸として貸し出すほど人気となっている。
作り手に寄り添った空間
個室は、高さのある天井と土間床、余裕のある広さで、あらゆる業種の作業に向いている。のこぎり屋根工場の特徴でもある北向きの窓は、安定した光が室内に届き、細やかな作業もはかどる。昔使われていた木製建具が使われていたり、内装にも面白い工夫が施されている。また、あらゆる作り手を想定し、各室に給排水設備、共用部には皆で使える水場を用意。インターネット環境も完備と、作業にとことんのめる込める充実した設備を整えている。
使って、眺めて、楽しめる2種類の庭
メインの庭「かくど広場」には、大木の下でコーヒーを飲んだり、丘で寝そべって機織りの音を聞いたり、休憩にピッタリ。エントランスの「かくどFLAT」には、この工場でかつて使われていたリヤカーを展示台にしたり、眺めて美しい庭を楽しめる。
つながる、集まる、形づくり
個室でプライバシーは確保されつつも、作り手同士でアイディア出しや交流できるのが、何といってもワークサロン(シェアオフィス)の魅力。コラボレーションしたり、仕事が生まれるかも。
Overview 概要
- プロジェクト名
- Noko-tan(のこ譚)
- 期間
- 2020年11月~2021年6月
- 所在地
- 愛知県一宮市木曽川町玉ノ井大縄場十ノ切6−5
- 規模
- 木造平屋建て
- 用途
- シェアオフィス
- 設計
- アトリエ創
- 施工
- 建築テラス
- 造園
- m28e