京都駅発クリエーターのためのプラットフォーム

物件名SOSAK KYOTO
時期2017.06~
所在地京都市下京区塩屋町
規模木造2階建2棟
用途シェアアトリエ
施工椎口工務店
ロゴトナカイサインズ
HPhttps://sosakkyoto.localinfo.jp

京都駅の線路沿いの木賃アパートと住居を、「クリエーターのためのプラットフォーム」シェアアトリエとしてリノベーションした。

[依頼]
以前は家族で住まわれ、10年以上空き家だった個人オーナーからの依頼。
建て替えは難しい土地で、活用以外が難しい。

[調査]京都駅周辺は京都の最後にして最大の未開拓地
京都駅から徒歩10分の好立地。ただ、あまり京都らしさはないエリア。京都ではものづくりの作家が多いが、街中の町家だと気を使い、なかなか制作環境としては適していないという声をよく聞いており、そういう人にとってみると、特徴の多い京都の中でこのエリアは、希少な京都らしさの薄い=許容度のあるエリアといえる。
また、京都駅の反対側には、京都市立芸大、効率の芸術高校の移転が計画されており、京都駅周辺は、文化・芸術の発信地として、将来可能性が見込まれるエリアである。

詳細:ブログ「京都駅は京都最期の未開拓地

建物は、暗く古い物件だが、ポジティブに捉えると、昭和の雰囲気が漂う階段、今では生産が難しい型枠ガラスは葉っぱ柄、チャームポイントになりそうなものも多くみられた。

[企画]線路沿いに建つことの利点

線路沿いにある建物で電車音がうるさい環境を逆手に取り、「音を出せるシェアアトリエ」とした。木造密集地である京都市内中心部、またクリエーターの多い京都において、音の出せる事は希少価値が高い。
防音工事を施し電車の音を緩和したとして、ただの普通のリフォームしたアパートにすぎない。防音工事と各室水回りの工事費で、例えば工事費を2倍費やしたとしても、アトリエの家賃より2倍高く収益が出るだろうか。それは難しい。また、住居となると、耐震性も最大限高めなければならない。
それならば、音を出していいという価値づけをして、初期投資を抑えて最低限のリノベーションを施し、それなりの家賃を回収した方が効果的だという解法に至る。

名前は、「SOSAK KYOTO」。「創作」の意味ももちろんあるが、「Share ー Oficce ー Studio ー Aterier ー Kitchen 」の頭文字でもある。これは、人によってはアトリエにもなるし、オフィスにもなるし、スタジオにもなる。キッチンもある。使う人によって変幻自在に使いこなしてほしいという意味を込めている。
そして、そんな人たちが集まったら、きっとおもしろい化学反応が起こるに違いない。そんな思いを込めて、ロゴは化学式をモチーフにしている。

[設計]あえて作りこみすぎない内装
建物は、木賃アパート部分は既存のクラシックな階段や壁の雰囲気は既存を活かし、区画内は最低限の改修を施し、様々なクリエーターを受けいれる「クリエーターのためのプラットフォーム」。

シェア型物件は、個室は小さくても共用部が充実していたり、自分ひとりでは得られないものがあること。それが、物だけではなく、コミュニティというソフトまで寄与しているのが、現代に広く受け入れられている新しい価値観である。共用で食事やミーティングができる部屋や仮眠室を用意。戸建と木賃アパートをつなぐ中庭は、休憩しながら電車を眺められるベランダ車窓だ。
区画内は、床はラワン合板を貼っただけだ。そのままでも汚い感じはなく、フローリングを貼りたい人はその上から貼ってもいい。陶芸の人は、どうせ汚れるので合板のままの方が使いやすいという。壁と天井は真っ白に塗装、元々あったタイルのガス台は、部屋によって模様が異なり、ガスは使えないが、アクセントとしてそのまま置いておいた。巾木の代わりに角材を代用し、ものづくり感を演出した。

[リーシング・管理]
■初心者クリエーター向けにターゲットを絞る
クリエーターを入居者ターゲットにしたいのだが、クリエーターと言っても実に幅広い。若手クリエーターに焦点を置いた。家や学校では手狭で、はじめてアトリエを持つような人。建物の改修費、家賃をコストパフォーマンスの良いものにしようと考えていたので、必然と、ターゲット層が明確になった。若手クリエーターに焦点を置いた。家や学校では手狭で、はじめてアトリエを持つような人。建物の改修費、家賃をコストパフォーマンスの良いものにしようと考えていたので、必然と、ターゲット層が明確になった。

■見学会の代わりにマーケットを開催
入居希望の人も気軽に来れるマーケットを開催した。入居者層のためのマーケットにするには、若手クリエーターである必要があり、若手クリエーター向けの学校「世界文庫アカデミー」の講師を引き受けていたので、その生徒さんの有志に出てもらった。見学会のチラシも、生徒さんのデザイナーさんに作ってもらった。
他の生徒さんはもちろん、彼女達の友達が見ず知らずの物件見学会に来てくれるというのは、誰かがこの場所を借りたいというかもしれないし、長期的に見て宣伝効果があった。

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